H.MOSER & CIE

 

H.モーザーという時計ブランドをご存知でしょうか。腕時計がお好きな男性であれば、一度は聞いたことがあると思います。

ヒゲゼンマイまで自社製造している数少ない独立系高級機械式時計マニュファクチュールです。年間の生産数は約4000本と少なく、ベリーレアをコンセプトに確かな技術力と独創的なアイデアで素晴らしいタイムピースを製作しているH.モーザーをご紹介いたします。

 

H.モーザー 創業

 

H.モーザーはヨハン・ハインリッヒ・モーザーが設立したブランドになります。

スイスのシャフハウゼンで時計職人の家系に生まれ、若くしてスイス・ジュラ地方のル・ロックルの時計工房で技術を磨き、小規模ながら時計の補修部品を供給する工房を立ち上げます。1827年には時計業界に於いて振興市場となるロシアのサンクトペテルブルクに行き翌年の1828 年に H. MOSER & CIEを設立します。

 

1829年にはスイスのル・ロックルに時計工場を開設し、ムーブメントの安定供給に成功することで事業は順調に拡大していきます。中央アジア、中東、極東で最も有名な時計ブランドとして成長していきます。

 

1848年社会情勢が不安定のため、会社の経営を支配人に委ね、スイス人として子供達の成長を願いシャフハウゼンに戻ります。その後、水力発電所や鉄道会社、ライン川初のダム建設を共同で立ち上げシャフハウゼンの産業振興に大きく貢献します。

 

1868年、アメリカ人のフロレンタイン・アリオスト・ジョーン(IWC創業者)に工場と電力を貸与し、IWC創業に協力します。

1970年代のクォーツショックの影響により1979年、152年の長い歴史に幕を閉じます。

 

H.モーザー 復活

 

2002年、H.モーザーの曾孫にあたるロジャー・ニコラス・バルジガー とIWC技術部長ユルゲン・ランゲ博士が協力してモーザー シャフハウゼン AGを国際商標登録して時計作りを再開します。2006年のバーゼルワールドで4つのコレクションを発表しH.モーザーは復活を果たします。

 

H.モーザーの姉妹会社 プレシジョン・エンジニアリング社

ヒゲゼンマイを含む脱進機部品の製造を担いH.モーザーのムーブメントに関連するすべての部品を製造している。ヒゲゼンマイはMB&Fやカリ・ヴティライネンなど、新進気鋭のブランドや大手メゾンにも供給されている。

 

復活したH.モーザーの頭脳とも言うべき立役者が独立時計師アンドレアス・ストレーラー氏です。ユニット交換できる脱進機や、3針のようなパーペチュアルカレンダーを設計しています。

2008年に起きたリーマンショックの影響により経営難になります。

 

メイラン家と新生 H.モーザー

 

H.モーザーの外部コンサルティングとして携わっていたMELBホールディングが2012年に経営権を取得します。CEO は複雑時計の揺りかごと呼ばれるジュウ渓谷に長く続く名門時計師一族のジョージ・ヘンリー・メイラン氏です。

 

【ジャガー・ルクルトなどを経て、1985年オーデマ ピゲに入社、1997年より2005年まで同社CEOを務める。2006年に家族経営となるMELBホールディングスを設立し医療機器製造や不動産事業と、メインとなる高級時計ビジネスでは2011年にオートランス、2013年にH.モーザーを傘下に収める。】

 

2013年、新生H.MOSER & CIEをMoser Watch Holdingと改名し長男のエドゥアルド・メイラン氏がCEOに就任します。制約が少ないファミリービジネスらしく豊かな発想でスイスの時計業界に衝撃を与える話題性の高いモデルを次々に発表します。H.モーザーはメイラン家が経営を担ってから更なる飛躍を遂げています。

 

♢ H.モーザー 話題作 ♢

 

2016年、スマートウォッチへのアンチテーゼとなるスイス アルプ ウォッチを発表。

アップルウォッチにそっくりな外観を持つ機械式時計。その後、いくつかのバリエーションを展開し今は生産終了モデルとなる。

 

2017年1月1日に施行されたムーブメントの60%以上をスイス製のパーツを使用していないと表記が許されないswiss madeの法令に対し、基準が緩いという意味を込めてH.モーザーの時計はswiss madeの表記を廃止しました。

 

2017年、100%スイスメイドとなるスイスマッドウォッチを発表。

ベゼル(ポリマー製)にスイス産チーズを練りこんだ100%スイス製の機械式時計をクリスティーズに出品する。収益はスイス時計文化基金に寄付されました。

 

2018年、スイス アイコンウォッチを発表。

スイス時計業界の問題定義の意味を含めて製作したこのモデルは、一部のブランドから賛同を得られずに販売されなかった幻のモデルです。物議を醸す個性を世に出せるのも独立系ブランドの魅力です。

 

2019年、モーザーネイチャーウォッチを発表。

環境保全と持続可能な発展のシンボルとして制作。ベゼルには植物、ダイアルは天然鉱石と苔を使用しスイスのアルプスで採取されたもので製作されました。

 

ベンチャークラシック

 

シンプルを追求したデザインと一目でわかる文字盤の深遠なグラデーションは、H.モーザーの哲学的なものづくりを物語っています。

見る者を捉えて離さない蠱惑的な魅力を持つフェメダイアルは、薄い塗装を丁寧に繰り返すことで外周にいくほどスモーキーな質感を表現しています。

シンプルなリーフ針もゆがみなく綺麗に鏡面仕上げが丁寧に施されているのが見てとれます。

 

 

サファイアクリスタルが丸みを帯びているため文字盤が立体的に見えます。

温かみのあるレッドゴールドのケースサイドはラグにかけて鏡面部分が捻るようなデザインを持ち、まるでモーザーのMの様にも見えてエレガントです。

 

リューズは掴みやすい大きさで、引き出す感触も良く、操作性に優れたユーザーフレンドリーな設計です。39㎜ケースと短いラグが腕に乗せた時の収まりも文句ありません。

 

 

オリジナル合金で制作された自社製ヒゲゼンマイに高精度調整が可能なフリースプラングテンプとシリコン製のアンクルとガンギを採用した脱進機は、高い技術力を持つ自社一貫製造にこだわったマニュファクチュールだから成し得ることができます。

 

パワーリザーブが72時間と搭載されたCal.HM327はとても優秀です。

 

地板には幅の異なる独特なコート・ド・ジュネーヴが施されモーザー・ストライプと呼ばれています。

モーザーのDNAを受け継いでいる証として地板にモーザーシールが刻印されています。

 

 

高いデザイン性や高性能ムーブメント、独立系メゾンである事、生産本数が少ない上にセカンドマーケットに出回る事も多くありません。

H.モーザーはクラシックでありながらも、斬新さを併せ持つ絶妙なバランス感覚を持っています。時代を先読みした取り組みや製品哲学はとてもユニークで商業的にも成功を収めています。

 

更にどのように進化を遂げていくのかこれから目が離せません。

 

 

♢H.モーザー ベンチャークラシック

【REF.(型番)】 2327‐0401

【素材】 18Kローズゴールド

【文字盤】 ブラウン

【ベルト】  レザー

【ムーブメント】 手巻き

【ケースサイズ】 39mm

【防水性能】 日常生活防水

【付属品】 箱・国際保証書

【商品の状態】 USED

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